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DX FrontLine2デザイン思考×アジャイル開発でイノベーション創出

(右)デジタル共創本部 DX経営推進センター 共創戦略推進部 部長 奈木野豪秀さん
(左)デジタル共創本部 DX経営推進センター 共創戦略推進部 アジャイル開発グループグループ長 山田智徳さん

奈木野 共創戦略推進部は、英語表記でCo-Creation & Strategy Team。私たちはチームとして各事業部や事業会社、コーポレート部門と連携し、Garageという手法を使い、DXの推進をミッションとしています。
山田 このGarageを実行・推進するチームとして共創戦略推進部は20名ほどで活動しており、ユーザー視点でアイデアを考えるデザイン思考と、ユーザーのフィードバックを収集・適用するアジャイル開発の2つを中心に据え、取り組んでいます。
奈木野 デザイン思考は、ユーザーに寄り添いながらソリューションにつながるアイデアを考えていく手法です。具体的には、徹底的にユーザーを理解・共感し、ユーザーが感動する体験を描くことです。
まず象徴的なユーザー像であるペルソナを決めた後、インタビューや行動観察を通じてペルソナの性格や生活スタイル、行動を分析し、課題を深堀りしていきます。調査が終わると10人ほどの年齢、役職も様々な多様性のあるメンバーを集め、ワークショップを実施。そこではメンバー全員がペルソナになりきり、何が一番困っているのか、何を解決したらハッピーになれるのか、などのアイデアを次々と出します。そして、選ばれたアイデアから、実際の体験シナリオを描いていきます。この後、具体化という点に進むのですが、ここからアジャイル開発を駆使します。
以前のウォーターフォール方式では、例えば高機能な製品を1年以上かけて作り上げても実際は必要最低限の機能しか使われない、ということがありました。そこで、いきなり多機能にするのではなく、まずは最小限の機能を持つプロダクトを開発し、ユーザーの反応をフィードバックしながらクイックに改良し、機能を足したりしながら、必要とされる製品を作っていくアジャイル方式を採用することにしました。
このように、ユーザー体験を描くデザイン思考と、ユーザーの真の要望に耳を傾けながら開発を進めるアジャイル開発を旭化成全体に広めていくことがミッションのひとつです。それぞれの想いやこだわりを大切にし、ユーザーに寄り添い抜く集団になりたいと思っています。

3つのフェーズを有機的に
運用して競争力を上げる

山田 Garageは共に創る(Co-Create)から共に実行する(Co-Execute)、そして共に運用する(Co-Operate)まで3つのフェーズがあります。実際に価値を生み出すのはCo-Operateに移行してからとなりますので、ローンチ後も作って終わり、ではなく、価値を高め続けていきます。
もちろん失敗や苦労もあります。例えば、価値を高めていくプロセスにおいては、本当の意味でユーザーの要望に沿うことが非常に重要になりますが、これは同じ社内だからこそ出来る強みでもあると考えています。一方で、外部パートナー企業の方に支援頂く場合においては、ユーザーの声が届きにくかったり、発注者の顔色を見た開発になってしまう、などのリスクも考慮に入れた上での対応が必要となり、難しい部分でもあります。また、予算の考え方ひとつ取っても、我々は製造業であるため「工場を建てたら1日何個製品ができる」というような確実性が高いものに対する予算が多い中で、「価値検証を繰り返しながら進めていく(場合によっては何も作っていないケースもあり得る)」という不確実性が高いものに対する予算を取ることにとても苦労しました。
奈木野 今後の目標はもちろん、デジタル共創本部で定めているKPIの達成です。そして社会貢献ですね。
旭化成全体を変え、日本の競争力を上げるためにも、化学産業、ものづくり産業なども変わっていかなければなりません。旭化成の中で成功したという事実が、日本の競争力を上げることに貢献しているんだという想いで進み続けたいと思います。

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