
※本記事は、帝人様のDXの取り組みを「DX TODAY」の取材コンテンツとしてご紹介するものであり、横河デジタルが本取り組みの導入・開発・運用支援を行った事例ではありません。
弊社では、全社的に自律的なDXを進めています。その中核となる基盤として構築しているのが、生成AIを活用したプラットフォーム「Teijin Brain」です。
この取り組みは、2023年にスタートしました。当初は社内情報に踏み込まず、一般的な生成AIのように、世の中の一般情報を調べて要約できる環境を社内で共有するところから始めました。生成AIが急速に進化する中で、「まずは使ってみる」「便利さを体感してもらう」ことを優先したのです。
その後、2024年度からは社内ナレッジの活用へと舵を切りました。社内には膨大な文書やノウハウがありますが、従来の仕組みでは必要な情報にたどり着くのが難しいという課題があったのです。そこで、各部署が保有する文書を、セキュリティを確保したうえで生成AIが検索・要約し、チャット形式で返してくれる仕組みを構築しています。現在は一部部門での先行導入を経て、全社展開を進めている段階です。
構築にあたって最も重視したのは、現場の負担をできるだけ増やさないようにすることです。部署によって文書形式や用語、前提条件は異なることがありますが、それを無理に全社で統一することはしていません。まずは各部署内で完結する形で使い始め、自然に利用価値を感じてもらう。それから、将来的に部門横断のナレッジ連携へと広げていくという考えです。
人と知見をつなぎ、次世代につなげる
100年以上前に化学繊維製造から始まった弊社にとって、デジタルやAIは必ずしも身近な存在ではありません。生成AIの導入直後には「何を聞いていいかわからない」「本当に使って大丈夫なのか」といった声も多くありました。そこで、ポータルサイトでの丁寧な情報発信や、具体的な使い方の共有に力を入れました。「単純に検索ワードを並べるのではなく、自然な文章で質問してよい」といった基本的なポイントを伝えるだけでも、利用のハードルは大きく下がります。
また、社内コミュニティの存在も重要な役割を果たしています。DXやAIに関心の高い社員が集まるコミュニティを通じて、活用事例やつまずきポイントを共有することで、徐々に利用の輪が広がっています。現在では500人以上が参加する、社内最大規模のコミュニティとなりました。
「Teijin Brain」の価値は、単なる検索効率の向上にとどまりません。長い歴史を持つ弊社には、紙ベースで残された過去の記録や技術検討の経緯など、貴重な知見が数多く存在します。なぜその判断に至ったのか、過去にどのような失敗や工夫があったのか。そうした背景を後からたどれることは、同じ失敗を繰り返さないためにも、また次世代の人財育成のためにも不可欠です。まずはデジタル化されている情報から活用し、各工場で情報を精査したうえでAI-OCRなども活用しながら段階的に取り込んでいく方針です。
将来的には、社内外の情報を統合し、「AI社員」のように一人ひとりを支援する存在へと進化させたいですね。営業、生産、研究といった部門の壁を越え、必要な知識に自然にアクセスできる環境を整えることが、「モノ売り」から「コト売り」へとビジネスを変革していくための基盤になると考えています。
「Teijin Brain」は、まだスタートラインを切ったばかりです。それでも、小さく始め、使われる中で磨き続けることが、結果的に全社最適につながると信じています。世の中の技術動向を柔軟に取り込みながら、帝人グループらしいAI活用の形を、これからも追求していきます。
(↓)「Teijin Brain」のイメージ図
